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2013年6月26日 (水)

丕緒の鳥

 小野不由美さんの十二国記シリーズの最新刊「丕緒の鳥」を読みました。

 「丕緒の鳥」は4編からなる短編集で、冒頭の2編、「丕緒の鳥」と「落照の獄」は、それぞれyomyom6号と12号に掲載された作品で、「青条の蘭」と「風信」は書下ろしの作品です。

 「丕緒の鳥」と「落照の獄」は文庫化に伴って、加筆改稿があるのかもしれませんが、とりあえず、読んでみて私が直感的に気付く箇所はありませんでしたので、

 「丕緒の鳥」の初読のときの感想は、こちら

 「落照の獄」の初読のときの感想は、こちら

に、リンクしますので、お時間があって、ご興味がありましたらのぞいてみてください。

 「青条の蘭」と「風信」が、十二国記シリーズの新作になります。

 新作、4年ぶり…(遠い目)。

 以下、ネタバレしまくり、個人的な嗜好爆裂な感想になりますので、未読の方はご注意ください。



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 超簡単なあらすじ。

 「青条の蘭」は、山野の野木から実りを集め献上する国官の標仲と、その幼馴染であり故郷の山野の保全する州官である包荒が、ブナの奇病に気付いてから治療薬を見つけ、育て、それをブナの奇病を食い止めるためにそれを王に上奏するため奔走し、ついには登極したばかりの新王に路木に祈ってもらうために、治療薬となる青条の蘭を献上するために年内に新王に届けようとする標仲。ついに力尽き動けなくなった彼の手を離れ、青条の蘭は、たくさんの民から民の手を渡って、王のもとに向かっていく。そして、翌年、里木には…。

 「風信」は、予王の女性の国外追放令を守らなかったために、両親を家族を殺され、家を生まれ育った街を焼かれ国を出るために歩む道中の建州で予王崩御を知った蓮花。「これだけの期間耐え忍べば、殺されることはなかったのに」。故郷に帰らず、その知らせを受けた地で生きることにした蓮花は、暦をつくる州官たちのもとに奉公することになった。現世から隔絶しているかのように日常をおくる彼ら。「外は嵐なのに」。けれど彼らは「暦は必要だから、それしかできない自分たちが作る」。そして、燕の雛の数を調査していて、正統な王がどこかに立ったことを知る。慶国の陽子が王に立つ前後のお話ですね。

 「丕緒の鳥」に陽子がちらっとだけ登場するけれど、どのお話も主人公は、ごく普通の民。官といっても、どの人も官の端っこにいて、中央で権を持ってるとかでは全然ない、普通にたくさんいる官吏。でも、彼らは、自分の仕事を精一杯果たして、それで王に民を気にかけることを忘れて欲しくない想いを伝えたくて、王に民を国を守ってほしくて、王がいなくても少しでも民に荒廃が降りかかるのを遅く・少なくしようと自分自身のできることをする。

 たくさん腐敗した官がいたりするけど、真っ直ぐな人の想いを真っ直ぐな瞳で受け止めて、たくさんの人の真心のリレーが行われて、それが結実していく。

 「青条の蘭」では、過去の作品のたくさんの人たちのたくさんの言葉が頭の中を交錯しました。特に松伯が陽子に言った言葉…かな。

 「青条の蘭」で登極した新王は、おそらく尚隆ですよね。尚隆が登極する前の、どんどん傾いていく雁国と、登極直後が描かれています。「東の海神、西の蒼海」では、登極前後と登極の30年後が尚隆の側から描かれていますが、この「青条の蘭」は、民の側から描かれた作品。山頂から見えていた雁国の地上の荒廃の凄まじさがそこで生きる人々を通じて描かれています。よりリアルに具体性を持って、私の心に迫ってきました。

 「風信」でも、予王の女性追放令の現実をそこに突き付けられて…。女性追放令で、実際にどのようなことが行われていたのかが、ここでも容赦なく描かれていて、これまでどこか傍観していた感がしていたことが、現実味を伴って目の当たりにしたような気がします。蓮花だけでなく、蓮花のような想いをしたたくさんの人々がいるのですよね。
 ん~、いろいろ考えても言葉が上手く紡げません。何をどう記しても上滑りなような気がしてしまいます…。

 どちらの物語も、国を動かす立場にないごく普通の民が、己の職分を全うして、真っ直ぐに貫いて、それに心を寄せた多くの人たちが、己のできる協力をして、国を動かしていく物語のように思えてなりません。

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